建もの探訪


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小出さんがどなたかは存じませんが、「さあどうぞ」と言わんばかりに門扉が開いていたので、小出さんのお宅へお邪魔させて頂きました。
大正十四年(1925)に、文京区西片に建てられた家だそうです。
手土産のひとつでも持って来たかったものの、なにせ急な訪問ですから、失礼とは思いながらも手ぶらです。
幸いというか、お家の方は、ボランティアの男性だけだったので、靴を脱いで上がります。
でも、小出さんって誰?
ということで、前回からの続きです。


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玄関を入ると、すぐ右手に応接間。
ちょっと窮屈なリビングで、談笑中にピアノを弾いたら、かなりやかましいでしょう。
それでも関東大震災から二年後に、これだけの家を建てられたのですから、さぞや裕福な家庭で、ハイカラさんのお嬢様が頭にリボンなど乗せ、妙なる音色でねこふんじゃったを奏でていたに違いありません。

渡辺篤史さんなら気の利いたことを言うのでしょうが、私には無理のようです。


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後は2階も含め、すべて和室です。


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台所を拝見。
このスタイルの流しは、私などにもお馴染の石材製。
うちの実家も水回りは同じような造りだったので、懐かしく昔を思い出します。


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天井を見れば、大正時代とは思えないきれいさで、ここへ移築するに当たってリフォームされていることが分かります。


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浴室は何の風情もありませんが、当時の庶民階級のほとんどが銭湯通いをしていた時代ですから、家にお風呂があること自体に、小出さんのステータスを感じます。


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開放的な南向きの、小出さん宅の全景でした。
でも文京区に建っていた当時の家の向きや、実際にこれだけのお庭があったかは不明です。



                                     



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続いて、昭和十七年(1942)に建てられた前川國男さん宅。
前川さんは、有名な建築家だそうです。
品川区上大崎三丁目から移築された前川さんちは、軽井沢辺りにありそうな別荘風。
平成の今では陳腐化したデザインですが、これが戦時下に建てられたということに驚きます。
当時としては、かなり斬新で、よく空襲に遭わなかったものだと感心しました。

焼けなかったからこそ、ここ小金井公園へ移されたわけで、戦後は次々と電化されて、快適に暮らした様子が窺えます。

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続いて水回りです。
台所からキッチンへ、風呂からバスへ、ご不浄からトイレへと、暮らしは文化や文明に導かれて変化します。

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最後に寝室にお邪魔しました。
存じない方の寝屋に入ることなど、なかなか体験できることではありません。
セパレートする大きなベッドを拝見して、前川さんちを後にしました。



                                     




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今回、私が一番気に入った大川さんのお宅です。
こちらは最初の小出さんちと同様、大正十四年に建てられたお家。
場所は大田区田園調布四丁目からの移築だそうで、平成五年まで実際に住まわれておられたそうな。


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平屋の建物内はすべて洋式で統一されていますが、大正末期から昭和初期のイメージで復元された模様。


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キッチンというよりは「台所」ですが、たぶん当時では最先端のオーブンが置かれています。
さすが田園調布。


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台所から振り返るとこんな感じ。

食堂とリビングです。
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ガーデンテラスまでありました。
また言いますが、さすが田園調布。
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タコで~す。
もうポンコツの私ですが、さすがにこんな電話機は使ったことがありません。
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電話局(逓信省?)には交換台のおねーさんたちがいて、
「はい、何番へお繋ぎしま~す」
と、ピンジャックをブスリと差し込んでいた時代だったのでしょう。
(年甲斐もなく、本当は違うモノに見えました…)


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この形のラヂオは知りませんが、足踏み式のミシンは我が家にもありました。
こんなお洒落な装飾などの無い、もっと安物でしたが…。


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大川さん宅を後にしようと玄関まで戻ると、すぐ横に、この家唯一の三畳の和室がありました。
書生部屋かと思ったら、女中部屋だったそうです。
驚くほど大きな家ではないのに、女中さんがいたんですね。
大川さんの奥さんは専業主婦ではなかったのでしょうか。
でも田園調布。
奥さんはお稽古事に専念していらっしゃったのでしょう。


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これで西ゾーン巡りは終わりです。
ビジターセンターに戻り、アイスコーヒーでひと息入れます。


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小金井公園内の「江戸東京たてもの園」はこれだけのエリア。


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そして今回、急いで巡ったのが、この一番西側の区域。
時間がないので、かなり消化不良気味です。
じっくり見て回るには、一日でも足りないくらいです。
それでも子供の頃に目にした物で、部分的に昔を思い出すこともあり、有意義なひと時でした。


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駐車料金600円也を支払い、公園を後にして五日市街道へ出ました。
桜の時期は大渋滞の街道ですが、玉川上水に沿って走るこの道は、空いていれば爽快です。
約束の吉祥寺へ向かいました。
次に訪れるのは、また偶然が重ならない限り、無理のようです。
いっそ、休日を利用して、ここだけを目的に来た方が賢明ですね。
また、思い出を探しに来ましょう。


おしまい。



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