東京のツバメ


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数か月前、都心では二年連続でツバメが観測されないとの報道があったが、どっこい、いるところにはいるのである。

ツバメが何年生きるのか知らないけれど、毎年同じ場所で同じ相手と巣作りをするという。
春にフィリピンなどの東南アジアからやって来て日本で子育てをし、そして秋に再び南へ帰るのだ。

中には渡りをせず、私のようなぐうたらツバメもいて、「越冬ツバメ」と呼ばれたりしているが、大多数の個体が数千キロをこの小さな体で移動するのだと思いながら見ると、その生命力に頭が下がるのである。

人間が定めた国境など関係ないから、場合によっては鳥インフルなどを媒介したりするのだろうか。
そんなことに想いを巡らせながら、でもヒナたちの貪欲な食欲を目にすると、益鳥とされ、古来から歓迎される所以も得心がいく。

 巣乙鳥(すつばめ)や何をつぶやく小くらがり   一茶

数年前、民家の玄関で、その家のご主人が竹ぼうきの柄でツバメの巣を壊しているのを目撃した。
おそらく糞害に悩まされてのことだろうが、人間さますべてにとって益鳥であるはずもなく、かわいそうにと思いながら、仕方ないのかなと無言で通り過ぎた。

 夕燕我には翌(あす)のあてはなき   一茶

無職になってから、意に反して忙しい。
何かを諦めなければ何かを手に入れられない社会に、完全に組み込まれてしまっている。
収入がないのに予定外の支出ばかりがかさみ、明日以降の憂いが広がる。

お金を追い掛けるだけが成功ではないんだと強がってみたら、ツバメになりたいと思った。
小乗的な一茶の句が沁みる。
生まれ育った東京を逃げ出すことはできない。

今夜は帰宅できないので、友人にログインしてもらい、この記事をアップする。
そこまでしてブログを続ける意義や価値などないのだが、ボケ防止でネタを考えたり文章を綴ったりの作業が有効に思えるから、まだしばらくはこのままでいようと思う。
但し、きっと言語明瞭意味不明の内容になってゆくのだろう。

 留守にするぞ恋して遊べ菴の蝿   一茶

日本と東南アジア、ツバメにとってどちらが本宅で、どちらが別宅なのだろう。
移動は大変だが、羨ましくないこともない。


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