東京エレジー


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半月前の酷暑が嘘のように東京は涼しくなった。
炎帝の力も尽きたか、台風やら秋雨前線やらの仕業である。

止んだと思ったら時折パラパラと小雨が舞う生憎の曇天。
だから都庁展望室からの眺望は利かない。

いつもは新宿御苑や神宮外苑、代々木公園などの緑を探すのだが、予報で雲や傘のマークばかりが続くこの天気では仕方あるまい。
こんな都会にも緑がたくさんあることを確認してホッとしたかったのだ。

それにしても、である。
こんなにビルばかり建てて、私の旧知の東京の風景を変貌させられてしまうのが何だか面白くない。
面白くないのは、ほぼすべての建物が私とはまったく無関係の建造物だからであって、しかしその変化や進化を便利に思い感激する人が存在することにも考えが及ぶ。

そりゃあ子供の頃は未来都市の想像図を見ては、生きている間に実際に目にすることができるのだろうかと懐疑的に思う部分もあった。
けれどいま目にする光景は、幼い頃に雑誌で見た、まぎれもない現実になっている。
この変化を歓迎し、喜ぶ人もいるのだ。

これからも建てては壊し、また建てては壊しの改造を、ほぼ50年~70年くらいのサイクルで更新し続けるのだろう。
要するに耐用年数やデザインの陳腐化が東京の街をことごとく上書きするのだ。
50年に一度ならば、70年ごとに律儀にやって来るハレー彗星同様、運が良ければ二度目の上書きも見られるかもしれない。
しかし私は一度で結構である。
でないと、目が回ってしまうではないか。

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最近の話題は新国立競技場関連の問題ばかりで、はなはだ巷が騒がしい。
私は一度小学生の頃に東京オリンピックを見ているので、それほど関心はない。
もっとも、2020年まで生きている自信もないので、余計に騒がしく感じてしまうのかも知れぬ。

右の画像は2008年に写したもの。
このデザインをまた使い回せばいいじゃん、と言っても、そんな訳にはいかないのだろう。

ずいぶん無駄な支出もあるようだ。
支出するからには、どこかでその収入を得る人や組織も必ず存在するわけで、これすべて税金である。

使う人だって税金は納めているのだろうが、それが使う側の立場になると、なぜか金銭感覚がマヒして大盤振る舞いをしてしまうようだ。
庶民にはイメージが湧かない数千億円単位の金額だから、思考も追及も漠然としたものになる。
都の負担分で換算すると特養ホームが何棟建てられるのかとか、保育園の入所を待つ待機児童の問題は一挙に解消できるんだろうな、と思いを巡らせるだけである。

国立競技場の新築のために国やら都やらが負担する金額は、MAXで一時3,500億円にまで膨れ上がったが、かなり抑えられたようだ。
それでも樹齢100年以上の樹木が100本以上も伐採されたと聞くと、この国の首都はいったいどこへ向かって行くのだろうかと心配になる。

もっとも2020年に確実に私が生きている保障はないので、ジジババが決めるのではなく、若い人たちがどう考え、どう行動するかの問題である。
私もジジイに片足を突っ込み始めているので、これ以上声高に語るつもりはない。


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3,500億円で思い出したが、渋谷のNHKが新社屋の建て替えを計画している。
その額、同じく3,500億円。
受信料収入である。
何年か前に100円単位の受信料の値下げがあったが、いつの間にかまたこんなに溜め込んでいたとは知らなかった。
なぜそんなに掛かるのかは取り敢えず無理やり置くにしても、単純に考えれば再度の値下げを強制される前にすべて使っちまおうとの思惑が透けて見えるではないか。

そこで例によって批判が起こる。
「4Kや8Kテレビなんかを開発する無駄も含めて受信契約をしている人に還元せよ」と…。
もっともな話に聞こえる。
4Kや8Kが何だかわからないけどさ。

だがちょっと待てよ。
元政権与党だった現野党が事業仕分けをしたことは、みんな覚えているだろう。
「なぜ一番じゃなきゃいけないんでしょうか、二番や三番ではダメなんですか」
まあ、こんな趣旨の発言だった。

ところがこの発言への反発が一斉に噴出したことも当然覚えているはずだ。
要するに日本の技術開発力や意欲を削ぐものだというのが主たる理由だった。
開発力向上で世界一を目指せと拳を上げたメディアやネットユーザーの何と多かったことか。

しかし今度はNHKの技術開発にクレームをつける。
その論拠は、こんな時代だからこそ支出を極力抑制しなければいけないというもの。
主義主張の確固たるバックボーンが無いから、このような自己矛盾が生じる。
そして己の矛盾に気付かない。

へそ曲がりだから、NHKを批判すると見せかけて、逆に擁護してみた。
3,500億円使って建てても、また50年後に建て替えるのだろう。
こうして東京は更なる上書きを重ねて存続(たぶん)するのである。

それにしても、受信料値下げで内部留保をほとんど吐き出したはずなのに、恐るべしNHK。

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私事で最近、印鑑証明を取り寄せて実印を捺す高額の買い物をしてしまった。
通帳を開けば今日の空のような憂鬱な精神状態になる。

よそ様には微々たる額だろうが、私にとっては貴重な虎の子である。
おそらくもう死ぬまで、こんな高額の出費はしないだろうし、したくはない。

お金は大切です。
明日からは節約の鬼になるぞ!

夕食は駅ホームで早速の節約。


数字つながりの余談を書いて終わりにする。

アメリカのコロラド州デンバー郊外の「映画館乱射事件」のジェームズ・ホームズ被告(27)に判決が出た。
12人を殺害し、70人の殺人未遂という凶行だった。

12人の殺害 → 12回の終身刑
70人の殺人未遂 → 禁錮3318年

アメリカの法律はすごい!


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