ストレスフリー


ストレスフリー 1.JPG

15号、19号と台風に痛め続けられ、それでもご神木は揺るぎもせずに在った。
今までは幹や枝葉しか見ていなかったが、幹を支える地中の根の拡がり、そしてそれまでの年月の長さに想いを馳せた。
人間の過去は記憶の中にしか存在しないのに、大樹には数百年の年輪が刻まれ、実存が目の前にある。

個人的な儀式や儀礼だが、神宿る(と世間は了解している)老木に触れると、さまざまなことに悩み疲れた我が身を認知するようになるのは個人的な思い込みのアミニズムだ。
周りが優秀な人ばかりで私の無能が際立つことを知っているから、無口になってこんな行為をしている。

PCを開く時間の余裕がないのは日々の暮らしが充実しているからでしょう。
やるべきこと、やらねばならないことをこなしていると更新が滞るのです。
以前は些細なことでもほぼ逐一ブログにアップしていたのですが、横着して1本に簡単にまとめましょう。

耕作放棄地を借りて百姓の真似事を始めたので、先ずは土作りから。
畑の天地返し、落ち葉を集めて堆肥作り、そこに隣の集落の養鶏場から鶏糞を貰い、立派な腐葉土の堆肥にする予定。

いつも野菜をくれる宮本さんはこの集落の区長さん。
30年前に工務店をたたみ、当地に移住した人。
春に奥さんと善光寺参りをした思い出がよほど強烈だったらしく、「尻に敷かれて善光寺参り」&「妻に牽かれて…」のフレーズは18番。
こちらはまた始まったよと、そっと目くばせする。

その宮本さんの畑で蒟蒻芋を掘る手伝いをしたり、4時間かけて林で天然の自然薯を掘らせて貰ったり、食事にお呼ばれしたりと、どんどん親しくなっている。
「金や名誉なんかを求めるより、百姓として一人前でありたい」
彼のこの言葉こそ名言である。
これも善光寺さまのご利益か。

ストレスフリー 2.JPG

三日間、親友の法事で東京に戻ったほかは、サナトリウム(時雨亭)に長期滞在している。
時には隣の集落まで、宮本さんのお供で出掛け、オブザーバーとして総会の末席にお邪魔させてもらったりしている。
総会とはいっても集まったのは十人にも満たない数で、そのまま忘年会と化した。
私たちは御酒を頂かないので、運転手としてこちらの車を出してそれぞれお送りした。

公民館では高齢のお嬢様方の茶飲み話のお相手をしながら絵手紙や刺繍を見学し、土地の伝承や昔話(同じか)を拝聴したり藁細工を教わったり、古くから伝わる踊りの振り付けを学んだりと、これまた親睦を深めている。
みなさん農家なので、野菜のお恵みも頻繁に頂戴する。
それによってこの土地で受け入れられたと思うほど単純思考はしていないが、先方が積極的に時雨亭にやって来るので、こちらからぐいぐい先手を打たないと非礼になる土地である。

後日、総会で親しくなった人たちに誘われ町へ出て、再び忘年会を決行した。
とはいっても場所は築数十年は経っていると思われる小さな個人食堂で、ラーメンから日本蕎麦、カツ丼、オムライス、お汁粉などのメニューが並ぶ平凡なお店。
そのメニューにしたって店内の油が染みて年代を感じさせ、まるで昭和レトロの映画セットのようでもある。

上手く説明できぬが、要するに地道に働く人間が汗の染みたお金で慎ましく飲み食いする店で、花見の前夜祭(あはは、お花見イブで盛り上がろうってこと? だったら夜桜を観に行くとか、落語の「長屋の花見」スタイルで超節約すればお金もかからないのにねえ)に超一流ホテルで会費五千円とは相容れぬもの。

ここでも名言を聞いた。
「小さな人情に溺れるのは簡単だけどさ、貧しい者ほど情に脆いんだよ。
だから友人の借金の肩代わりもした、1/10も返って来なかったけどそれでいいんだ、相手の誠意さえ見えればさ」
切り抜けてみれば、すべてが懐かしい昔語りになるのだ。

ほぼ連日のように、どこの誰かは知らぬが、気づくと玄関先に大量の野菜が置いてある。
捨て子は困るが野菜は大歓迎。
だから毎日けんちん汁は欠かさない。
(たまに豚汁とか、ほうとうやすいとんにして頂いてます)

友人と、こんなに食材があるんだから子ども食堂のようなことも考えたいねと話し合っている。
しかし子供数が圧倒的に少ないので、ならば集会所や公民館をお借りして老若が学べるカルチャー教室のようなもの。
時雨亭には多分野の大量の書物があるので、例えば図書コーナーを造らせて貰うことは有意義ではないか。

それが浸透すれば、次は読書会&勉強会のような交流は可能だろうか。
こちらはメンバーさえ揃えば宇宙や歴史や文学や物理化学やパソコン操作などを噛み砕いて解説できる。
叶わずとも、想像するだけでご飯三杯はイケる。

そんなこんなで、忙しくも健康的で快適な静養をしている師走ですが、今夜は柚子風呂に入りましょう。


鍬の柄に肘乗せ勤労感謝の日   時雨亭

横綱のまたも張り手や冬隣

交通情報銀杏落ち葉のスリップ事故

凩の倍音となる棚田かな

御神木神楽奉納正一位

メンタルの強くなりたしちゃんちゃんこ

炭はぜる音聴く炉辺や肘枕

仏典開きまま寝落ちの御取越

麦蒔や酒のちからを借りながら

靴下の穴に指入れてみる冬籠

疎からず親し過ぎずや寒鴉

最善手が千日手なる霜夜かな

腸に沁みる恩義や冬ぬくし

初霜や里三十軒の朝の音

本末を誤りけふの雪女郎

湯豆腐や少し無理して泣いてみる

冬ごもり海馬右脳でツイートす

直情の人は来ぬらし忘年会

友去りてLINEも黙る夜寒かな

山眠れば聴こゆ麓の木挽唄

肩幅ほどの肩身の狭さ肩蒲団

喰って寝て楽してをれぬ師走ゆへ


以後の更新予定が立たないので、一応、良いお年をお迎えください、とご挨拶しておきます。
m(__)m


この記事へのコメント

2020年01月
         1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31   

過去の記事

テーマ別記事

最近のコメント

QRコード