美味しいトマトは要らんかね


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午前中の収穫のお手伝いを終え、縁側で昼寝をしていたら遠雷。
見上げると、キャタピラ痕のような雲が浮かんで秋の空。


 ふと覚めて耳澄ましたり遠雷す    山頭火


人生に抗っても上昇気流は吹かないから、地べたに這いつくばって生きるしかない。
だから息苦しさにこうして時折空を仰ぐ。

すると夢と現の境が曖昧になって、心が浮遊する感覚が生じたりするから面白い。

風には懐かしい匂いがあって、本意ではない人生を歩んでしまったにせよ回顧する大切な思い出がそれなりに浮かび、この瞬間がフェルマータなのです。
自ら延長記号を付け、里山の休暇を満喫している。

先日は大接近中の火星に見惚れた。
17年後は生きていないと思ったら何となく知盛の心境になって、この世で見るべきものはほとんど見た気になり、心穏やかに納得したらくしゃみが出た、秋だ。

秋の虫が賑やかだった。
これじゃやかましくて寝られないと思ったが、都会では体感できない快眠に身を持ち崩して瞬時に果てた。

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よし、畑仕事をしよう! と東京を脱出したのがクソ暑い先月某日。
高速、県道、町道、村道、農道、私道と走り継いで、数か月振りに時雨亭へ戻った。

本当ならば私の終の棲家と決めた場所なのだが、友人数人で共同所有しているのでそういうわけにもいかぬ。

私が独断で時雨亭と名付けたものの、あまりのボロ屋に時雨庵か時雨小屋だなと言われた。

それでもワイワイガヤガヤでリフォームを繰り返し、久し振りに来てみれば快適この上なし。

休耕地(耕作放棄地)があるので、当初、じゃ菜園でも挑戦してみようかと兼業農家の関根さんから借りたのだが、素人が野菜作りの真似事をしても上手くいくかいなと懐疑的で、恐る恐る始めたら、家庭菜園程度に何とか恰好がついた。

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そして今回は関根さんの畑のトマトの収穫の手伝いをした。
こんな立派な野菜を育てる自信はないが、土や野菜に触れているだけで楽しい。
今回もお言葉に甘え、関根さん自慢のトマトを山ほど貰って帰った。

これらのことや仲間の紹介記事はいずれ詳しく書くが、今回はその中の一人、元高校教師が俳句同好会の顧問をしていたので、俳句の手ほどきを受けた。

ボクが今から一時間、薪割りをするから、その間にとにかく沢山の句を詠んでみて、との指令があり、ならばと挑戦してみた。

句歴45年の宗匠曰く、好きな俳人の真似で一向に構わないし、季重なりや三段切れや句またがりや自由律すべてOKと言うので、渋々挑戦してみた。

この歳になって勉強させられるとは思わなんだが、元といえど相手は教師だから、オレ薪割りの方が性に合ってるんだけどな、などとぶつくさ言いながら、チラシの裏にシャーペン舐め舐め始めた。


まどあけてけふはお月さまといっしょ    時雨亭

長月の風が寂しひ南無阿弥陀

脛毛すり切れた徒歩(かち)旅の月出る

まんじゆさげのお寺に参るさみしひ

信濃路は曼珠沙華ばかりの夕暮れ

新米の塩むすび経木に包む

花野にてひとり飯喰ふうれしさよ

天高し泣きたいときは泣いちまへ

どこでどうしたかまどうま片足で

ああそうかい我を無視する稲雀

喰ふて寝てまた喰ふて寝る秋の庵

独りがいいね時雨亭秋時雨

秋天やチャリで豚バラ買いに行く

来し方の慚愧軒端に枯葉降る

丸まって足の爪切るコケて秋

顔見知りの石仏に郁子そなへる

草に寝ころべばすいつちよと目が合ふ

茶立虫もう去ね月が隠れるぞ

月の雨忖度すれどへつらはづ

無縁墓をちこち野分して高速バスの停まる村

よろづ屋へ道をしへ道がちがふぞ

喰ふて寝てヒースローへと秋の旅

萱刈りはおにぎりとおーいお茶提げて

日の丸弁当をみなへしの横で

残り香や佳人秀麗月の眉

職質のない里山月天心

馬鈴薯を育て掘り茹でコフキーモ

雑草といふ名の花野うつくしく



以上が一時間かけて捻り出した句らしきもの。
山頭火や一茶の影響が出過ぎ!
添削を、とお願いしたら、どうも気が乗らないようで、それでも三句ほど手を入れてくれた。

初案はインスピレーションだから、あまりいじらない方が良いとのことで、なおかつ宗匠がおっしゃるには、いつの頃からか、発想を飛ばせとか、マクロからミクロへ、またその逆だったりとかは、対象と真剣に向き合えば、そんな細工などは無意味どころか真正面から対象を凝視していないことにつながり、それは自分の力量不足の証明でもある、との独自のお考えを持ってらっしゃる。
なので、手の入った三句は驚くほど良くなったが、敢えて直しのない初案を載せた。

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俳句攻めから解放され、冷やしトマトの美味しいこと!
一年分のトマトを一日で食べてしまった気がする。

調子に乗って、他にも時間内に以下の十七音や三十一音もひねってしまった。
(いつもの悪い癖が出た…)


丁寧に嘘つく男台風禍

ネトウヨてふ希種のゐて秋寒し

そり返り口がへの字の案山子かな

外遊で血税散財が国益か民は災禍の汚泥を黙しつ掬ふ

ネトウヨといふ害虫暗闇に蠢く見れば産経新聞丸めて叩く

宰相が「宰相」にしがみつくために舌は二枚必要らしき



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この記事へのコメント

2018年09月16日 21:07
ボクもプチ農業やってますが、トマトを作るのはむずかしい。

農業しながら俳句を作れる仲間がいるなんて!!
なんて幸せ!!
エミ
2018年09月16日 21:53
コフキーモって粉ふきいも?
時雨亭
2018年09月17日 06:52
今回はご近所の農家さんの収穫のお手伝いでした。
こちらはプチトマトがやっとだったのですが、
雨が少なかったせいか、案外甘い実りでした。

素人の田舎暮らしごっこはオモシロイです。
時雨亭
2018年09月17日 06:56
子供の頃はロシア料理と信じてました。
ソ連の人は日本人と同じもの食べてるんだなと、
感心したり納得してました。
美代子
2018年09月17日 09:03
 感性豊かな時雨亭さんの俳句、詩的で素敵ですね。やっぱり力がある人なんだと思います。都会の人だからこそ自然の中で感性が研ぎ澄まされるのでしょう。それにしても時雨亭はどこにあるんでしょう。昔の英国映画に、百年ごとにこの世に現れる村というのがありました。新聞記者がそこに紛れ込んで、千年前の娘に恋してしまうんです。変な話ですみません。笑。
時雨亭
2018年09月17日 21:02
 その昔、高速道路が通り、誓願していたバス停ができて、これからは都会に出た若者が戻って来易くなると村中で喜んだ土地も今では空き家ばかりになり、後は語るまでもない現状があります。
 都会にあるものは無いけれど、都会に無いものは沢山ある土地です。ありんこを2時間、ひたすら無心になって眺めたこともありますし、草を食む青虫も1時間眺め続けました。雑木林を歩けば蜘蛛の巣が顔に貼りついて毎回驚きます。それらが何もかもが新鮮で、ここでは心の置き方次第で時間が止まります。
 ボロ屋の運営はジジイ4人の合議で決定される、大人の遊び場、男の隠れ家的な存在です。隠れ家なので、本当はこのように開陳するのはご法度とは言わないまでも、仲間からは快く思われないかもしれません。この件も次回に相談してみます。場所は絶対に明かさないことが前提なので、手掛かりになるような文章や画像にも気を遣います。
 それぞれが時雨亭に於ける守秘義務と不干渉(ちょっとのお節介は許容範囲)の責任を負い、だからこそ円満円滑に過ごせる家です。それぞれが各地に自宅を持っているので、たまに来れば好きなことに時間を費やし(私の場合は昼寝と読書、時々土いじり)、浮世の垢を落とす土地であり家です。それもこれも長い付き合いの中から生まれた気心と信頼関係が礎です。
 今日は敬老の日で、実家の年寄りを人形町の今半に連れて行き、数年振りで高級なすき焼きなんぞを食しました。都会で暮らすと蓄えが湯水のように消えて行きます。ま、年寄りが満足してくれれば結果オーライなんですが、ちょこっと親孝行の真似事をした一日でした。
やじろべえ
2018年09月18日 14:06
当初は亡き拾碌さんも「時雨亭」に通ってましたね。
楽しい話をずいぶん聞かされたものでした。
俳句は門外漢ですが指折って数えると、
ちゃんと十七音になっているので感心しました。
『どこでどうしたかまどうま片足で』
『草に寝ころべばすいつちよと目が合ふ』
『よろづ屋へ道をしへ道がちがふぞ』
虫好きの時雨亭さんらしくてこちらも楽しくなります。
mariko
2018年09月18日 19:53
拾碌さんから場所を聞きましたけどナイショですね。
五七五にこだわらない十七文字の短詩と言うんですか?
でも全てに季語が入っているので俳句なんでしょうね。
案山子は悪い方の太郎ちゃんですね。あはは。v(^^)v
K・U
2018年09月19日 22:13
丸めた産経新聞で叩くと言うのはエスプリが効いてて、尚且つスパイシーでいいですなあ。愉快、痛快の極み!
時雨亭
2018年09月21日 06:13
 コメントありがとうございます。身辺がバタバタ(実際は自分がバタバタしてる)ので、今回はこれにて失礼します。
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