ぬらりひょん


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内科で「今日は精算機でお会計ができます」と言われ、機械にカードを挿し込むと70円と表示された。
何かの間違いじゃなかろうかと思ったが、確かにこの金額で精算が済んだ。

一割負担でもこんなに安かったことはなく、それでも相応の負担を強いられ、年金からあれもこれもと天引きされているので良しとしよう。

結果もそこそこ良かったし、現在のところさしたる不満もない。
A4の明細が2枚出て来て、本日の病院はこれにて終了。


画像もうお昼近いし、良い結果だったら何か好きなものを食べようと約束していたから、どうする? と問い掛けたら、ファミレスがいいと言うので、新大橋通りに出ればデニーズがあったことを思い出し、人通りが多いから舗道の端っこ歩くんだよと念を押して向かった。

すべてのファミレスにドリンクバーがあると思うのは大きな間違いで、デニーズはケチであると、これはばーさまのセリフ。

ドリンクバーあってのファミレスと決めつけていたから、少々ご不満のご様子。

ばーさまはガストかジョナサンのすかいらーく系がご贔屓で、でも近くにないんだから仕方ないじゃん。

ホットコーヒーは濃いから水で希釈し、スティックシュガーを1本に制限し、これで我慢してもらった。

結果が良かったとはいえ、糖尿病持ちなので、糖分控え目を言い聞かせて納得させる。


料理を頼むと、前菜に各種サラダが付くそうで、アンタが決めてくれと言われ、ならばとヒジキと大豆の入ったものを頼んだ。

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スプーンにするかい? お箸がいい、と言うので渡すと、豆を一粒ずつつまんでは口に入れる姿が可愛らしくないこともない。
どっちなんだと問われても困るが、可愛いわけでもなく、可愛くないわけでもないから中途半端な表現になる。

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アンタと同じものがいいというので、コレステロールたっぷりのこのような料理になったが、好きなものを食べればいいと宣言してしまった後だから仕方ない。

コレをひと皿ぺろりと食べそうな勢いで、それならそれで、ま、いいかと思ったが、半分ほど食べた時点で残りの半分がこちらに譲渡された。

こんなことをしているから、私の体重の増減が極端になるし、体調管理もおろそかになるのだ。

このところの体調がどうも変で、ピンポイントでここがヤバい! などと断言はできぬが、来月の人間ドックの予約を入れた。

ダメならダメで対策を講じるし、良ければ安心してばーさまの世話に集中できる。

もっとバター味がきついかと覚悟したが気になるほどではなく、かといって特段に美味しいと感じたわけでもなく、食事を終えた。
デミグラスソースが中途半端な味だった。

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本願寺の目の前を通れば築地場外は目と鼻の先。

新茶を買って戻ったら、夕方になってばーさまの友だち(人間の年齢に直すと80代半ばといったところか)が訪ねて来て、何か用事かと思いきや、何の用件もない。

でも訪ねてくれるのはありがたく、かといって話は年寄り同士だから堂々巡りで内容が進展する気配もなく、それでもふんふんと頷き合っているから通じ合うものがあるのだろう。

友人のばーさまはうちのばーさまと違ってかなりスリムでいらっしゃるから、目尻でカラスが何羽も遊び歩いたような、お顔に刻まれた過去のご苦労も印象深い。

今ではこの土地の主のような存在だから、痩躯でも醸し出す貫禄のようなものがある。
うちのばーさまも同じような存在だろう。

一杯目は私が淹れたが、話に付き合うつもりはさらさらなく、私には付いて行けない年寄り言語を無視していたので、二杯目はばーさまが自ら淹れた。

人間界に生きる私は夕食の準備を整えたいのだが、妖怪の世界には時間の観念がないらしい。


 粗茶ですが新茶どうぞとぬらりひょん    時雨亭


私は自分の湯呑を見つめながら、もう新茶が届かなくなって何年経ったのだろうと、あらぬ昔のあらぬ出来事を想い出していた。

 



            君 が 静 岡 へ


    僕のスケッチブックを燃やしたのは
    君が 静岡へ旅立つ前の晩
    「私の別の人生が これから始まるのね
     思い出は育てないことに決めました」

    「新茶が出始めたら 毎年送るわ
     それで 心穏やかな時を過ごして」
    「二度と安っぽい女には きっとならないわ
     やさしく かわいい妻になるわ」

         「得意なのは 海老ドリア ビーフシチュー お味噌汁
          おいしそうに食べる人 そんな人の傍に いつもいられれば」

    これからも 山の絵は描いていくよ
    理解していたのは 君ひとり
    半日 僕の横に黙って座り
    筆の動きを見つめていたのは君

         「苦手なのは 魔法のように言葉あやつる人
          時の流れが このまま凍りついてしまえば 広い胸の中で」

    「愛してるとか あの人が好きだとか
     もう死ぬまで 口には出さないつもり」
    夜が明け ドアを閉めて 東名下れば
    振り向いた君が 泣き笑いになる 



たった一人のために聞かせる曲を数多く作った。
だから一般の人には何が何やらわからない仕上がりになるし、もちろんバンドでやる曲ではない。

この曲もその中の一つで、「私の人生の節目に曲を書いて」と約束させられて作ったもの。
彼女に関しては以後も数曲書いたが、そのたびに「もう哀しい歌は作らないで!」とか言われたが、作ってくれって毎回言ってたのはそっちじゃん!

まだカセットテープの時代だったから、譜面とともに数本がいまだに彼女の手元にあると聞いている。
当時の曲を聴き直す懐古趣味などないが、今はすべてが時効で、思い出もぬらりひょんのようなものである。

彼女は現在、永住権を得た英国倫敦で、ぬらりひょんとして還暦を迎え、のらりくらりと浮草のような暮らしを続けている。

人生は流転すると決まっているらしいのです。
(数年前にコメントを入れられたが、妙子さんよ、今回は厳禁であるゾ)


この記事へのコメント

2018年06月17日 08:49
おはようございます。
もう時雨亭さんったら。
おばーさまの次に昔の話♪
「うふふふ」って言っちゃいました。
いいお声柔らかいお声
すてき~
本日の率直な感想にて。
人生は流転。。そうなんだ。
時雨亭
2018年06月17日 12:31
万人にお聴かせできるような曲はわずかで、
後はこのようなものばかりです。
日記の代用として曲を作っていたのだと思います。

Like a Rolling Stoneで、自然体で転がるような、
しなやかさを持ちたいものですね。
これが流転なのかは定かではありませんけど…。

今回もお耳汚しでスミマセンでした。
素人ゆえ、大目に見てやってください。(^^ゞ
2018年06月17日 13:56
粗茶ですが新茶どうぞとぬらりひょん    時雨亭さん

君が静岡への付箋の俳句なのですね~
誰にでもある過ぎた過去のお話ですが
胸を打ちます。
明るく歌う時雨亭さんに 泣けてきそうです(-_-;)

午後からの 仕事(農婦じゃん!)やめて
君が静岡へを聞いて居たいです(*'▽')
6度目を聴きながら コメントしています。
美代子
2018年06月17日 14:50
 面白い句ですね。こういう軽いタッチの句も楽しいものですね。肩が凝ってはいけません。反省してます。笑。おばあ様、お元気のご様子で何よりです。。。亡夫も含めて恋らしきものは数回ありましたが(笑)結局は本当の恋というのは一度っきりでした。本当の恋というのは時間に関係なく冷めないものなんですね。普通の恋と本当の恋の違いは何でしょうね。
みなとファンクラブ東京支部
2018年06月17日 19:23
私の声が遠い留萌で流れていると思うと、
不思議でもあり恐ろしくもあり、
何とも落ち着きません。
6回も聴いてはなりませぬ。
必ずや体調を崩します。

お父様を詠んだ句を拝見し、
またみなとさんの優しさに触れました。
私好みの名句が続きますね。
毎回楽しみにしてま~す。(^^)v
時雨亭
2018年06月17日 19:34
 美代子センセ、こんばんは。本当の恋と信じていた昔の人が、年に数回夢に出て来ます。忘れるのが惜しくてしばらく寝床で余韻に浸ります。妻も月イチペースで出現しますが、うなされて目覚めます。 センセの大恋愛譚をお聞きしたいものです。全裸にならない程度のソフトな語り口で是非ご検討ください。