両国橋


ご近所の数軒からリクエストがあり、代表して唐辛子を買いに出掛けることになった。
都営地下鉄新宿線の浜町駅で降りて両国橋方向へ歩き、薬研堀へ。

いつものお店(参照、カプサイシンと薬研堀)で用を済ませ、さて、帰りはどのコースにしようかと考えたが、ここまで来たなら、やはり両国へ出るのが自然だろう。

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昨夜の隅田川花火大会の余韻などすでになく、うたかたの夢は陽射しの下でとっくに流れ去っている。

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橋を渡る。
両国橋のうんちくなんて、大勢の方々が書いているだろうことは想像に難くないから堂々とパス。
連想するのは落語の「たがや」や「幾代餅」などの江戸時代の噺ばかり。

幾代餅に関しては大夫ではなく、遊女の幾代が両国広小路で実際に売り出して繁盛したとも聞くが、ウブで謹厳実直の清蔵さんが実在したかどうかは勉強不足で不明。

落語や講談噺が事実ならば、幾代さんは糟糠の妻として、日本の男性諸氏が必ず憧れる女性である。

志ん生や談志の噺が有名だが、私の好みは志ん生の弟子、先代の円菊師匠で、幾代の艶っぽさに魅かれた。

男性が演じる女性が女性自身より女性らしいと考えるのは、男性が過度に女性を神聖視するからであって、普段からいかに幻想の世界に生きているかの証しのようなものである。

良く言えばロマンチスト、普通に言えば阿呆、悪く言えば常識を超えた極度の世間知らず、ということになる。

糟糠の妻に色気が加われば女性は無敵で、世界中の男性は参ってしまう。
でも商売どころではなくなり、「短命」で昇天するのがオチである。

女性に癒しを求めるのは愚かな行為と、男たちはいい加減に目覚めなければいけない。


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一方、「たがや」は虚構の噺だから、侍の首が飛んでしまう痛快さは、打ち上がった花火の開花する爽快さと江戸っ子の怨みつらみに同調して下げが見事に決まり、この季節には欠かせない演目になっている。

武士を題材に採った演目では、「井戸の茶碗」の千代田卜斎と高木佐久左衛門のやり取りなどは、くず屋の清兵衛が狂言回しとして介して、清廉な武士の生きざまを描いた上質な人情噺として、後味が清々しい。

荒川水系は水不足と聞くが、これからが台風シーズンである。
芥川が見た百本杭は消え、江戸の名残を探すことも難しくなった。

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橋の東詰にある岡田商事は健在。
いつ見ても良い建築である。

この奥で四十七士は討ち取った吉良の首級とともに小休止を取り、態勢を整えた。

そして隅田川左岸を泉岳寺へ向かう。

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道なりに南下すると、万治2年(1659)に完成した、東西に流れる人工運河の堅川に出る。

一之橋の上に立てば、水門の先は隅田川。
四十七士が最初に渡った橋である。

河口に一番近いので、一之橋の名がついた。
だから東へ二之橋、三之橋と、わかりやすい橋名が続く。

屋形船で舟遊びでも楽しみながら、新鮮な地の魚でも食べたいものだ。

活鰺や江戸潮近き昼の月   一茶

享和句帖にある夏の句だ。

昼の月は出ていないが、活アジはこの季節が一番おいしい。
一茶は新鮮なアジを食べたのだろうか。

句の前書には、「開帳参」とある。
帰宅してから調べたら、江島杉山神社(当時は江島神社)の弁財天とわかった。

この写真のすぐ背後に江島杉山神社がある。
気づかずに通り過ぎてしまった。
下調べを怠った失敗である。

なお且つ、一茶の旧宅跡が二之橋のたもとにあることも同時に知った。
石碑くらいは建っているだろうに、ミスの連続である。
下調べは大切だ。

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一茶の句に触発されたか、活アジが食べたくなった。

アニサキスが怖くて生魚が食えるか! と思いながら、このところ生魚を食べていないのは、無意識に忌避しているからなのか。

巷の噂では、生魚にアニ某が寄生しているのは特異なことではないらしい。

加熱や冷凍で死滅するらしいが、今まで生魚に当たったことがないのは、運がいいからだけなのか、はたまた強靭な胃袋と胃酸ゆえなのかはわからない。

それでも、アニ某の死骸は何度となく口にしているのだろうと考えたら、複雑でどんよりした心持ちになった。

しかし、これまで宝くじが当たらなかったのと同様に、アニ某に当たることも絶対にないだろうと開き直った。

世間はヒアリ上陸で大騒ぎしている。
かたやアニ某騒ぎは沈静化した模様だし、アルゼンチンアリやセアカゴケグモなどは誰の話題にも乗らない。
若い人は知らないだろうが、遡ってアオバアリガタハネカクシなどは忘却の彼方である。

新鮮で肉厚のアジがたっぷり乗った丼で昼食を済ませ、両国駅から帰宅した。
体調に異常なし。

下町をプチ徘徊しただけだが、いい気分転換になった。
散歩は楽しい。










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