人間の一生を貫く矛盾


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政治が良くなれば暮らしも良くなる、などの幻想は誰でも知っている。
いくら政治や暮らしが良くなっても、人間、結局は老いるのだ。

若い頃に、いずれ現役を離れた時には趣味に生きたいと思っても、読書を楽しもうとすれば視力の衰えに悩み、山歩きで自然に親しもうとすれば膝が痛み、旨い酒を飲もうとすると内臓が悲鳴を上げ、医者がストップを掛ける。

そんなままならない世の中だと気付くのは、すべて老いてからのことである。
こうして老いはすべての予定や計画を裏切るのだ。

早ければ三十代、多くの人は四十代、五十代になって、己の肉体の衰えを確かな現実として自覚する。
人間の心身はあまねく一つの着地点へ向かっている。
それは緩やかな変化の過程を経ての結果である。

歩けなくなったり噛めなくなったり聴こえなくなったりするのは、結果へ向けての一本道である。
他人事ではないどころか、生きとし生ける神羅万象すべてに通底する現実だ。

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別居している子供と週一回以上会うとか、相談あるいは世話をし合う親しい友人がいるとか、電話で家族や友人などと連絡をとるなどの国別の比較はなるほどと思って見ることはあっても、調査した内閣府が、それならばこのような施策を行います、といった話は出て来ない。

だから政治が良くなれば云々、というのは幻想なのだ。
我々は実際の現場でそのことを痛切に知っている。

生まれたら例外なく死ぬのが絶対法則ならば、なぜ生まれなければならなかったのか。
宗教は様々な回答を用意しているが、体験者が語ることは絶対にないから回答も多岐に渡り、何を信じれば良いのか混乱する。
必ず訪れる死を考えることは、すなわち未来を考えることでもある。
大事故や大災害などがない限り、人間は必ず独りで生まれ独りで死んで行く。

宗教はその隙をも突いて、だから一日一日を大切に、あるいは懸命に、あるいは祈って生きなさいと説く。
なるほどそうだろうと思いながらも、死に近づくことは、もう懸命に額に汗して働くこともなければ、お金を溜めていざという時に備えることもない、夢のような平穏な仙境だと気付く。

その延長線上で物事を考えれば、死ぬことは怖くなくなるし、近しい甘美な現象であることへまで思い至る。
ある目標を着実に達成するため、自分が将来採るべき行動をあらかじめ約束しておくコミットメントであることと知る訳だ。

宗教家や尊大な人物ではないので、死についていくら語ろうと、所詮メビウスの輪をたどるだけなので、こうして不毛な思考になる。

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世代別人生満足度のグラフを見ていると、中高年層の満足度が高いことの意味が理解できる。

長く人間稼業を続けていれば、高望みが叶わないこともわかって来るし、肉体の衰えとの上手い付き合い方、折り合いの付け方もわかって来る。
人生の過不足の塩梅を受け入れたということだ。

死の瞬間にわかることが沢山あるという。
わかっても手遅れではないか。
だから生きているうちに善行を積めなどの言葉も空虚に響く。
孤独と絶望こそ人生の最期に味わうべき境地なのだと聞くと、尚更そう思う。
人間、生まれてから死ぬまで矛盾の連続である。

親友が生きていれば今日で何歳だな、と思いながら、今回も取り止めのないことを書いた。


諦観も挫折もありて老いの秋   多蘭



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この記事へのコメント

きらら
2015年09月03日 22:44
地球誕生からの気が遠くなる程の時間を思うと、人間の一生なんて一回の瞬きにも足りない短さですものね。
その中で濃密な一生を送る事の難しさに慄然とします。
明石の君
2015年09月04日 11:40
>長く人間稼業を続けていれば、
>高望みが叶わないこともわかって来るし、
>肉体の衰えとの上手い付き合い方、
>折り合いの付け方もわかって来る。
>人生の過不足の塩梅を受け入れたということだ。

世代別人生満足度グラフの分析に、なるほどと思いました。
多くを望まない事によって分相応が身に付くのでしょうね。
拾碌
2015年09月04日 22:20
生は一瞬、それ以外の我々が『無』と考えている時間こそが永遠の真実、本来の姿なのではと考える事があります。
答えが出ないのは当然としても、それでも死と対峙する人生の姿勢を問うた今回の内容に、今の仕事の社会的意味や意義は何ぞやと刃を突き付けられた気がしています。
管理人
2015年09月05日 16:47
このところ世間と調和できない不安定な精神状態が続いていて、ずいぶん暗い内容になってしまいました。
その時々の気分で書いているだけなので深読みは禁物です。

結局は、死ぬまで泣き泣き人の迷惑を引き受け、泣き泣き人に迷惑をかける人生を歩む互恵関係に縋りついて生きて行くのだと思います。
いい加減に自立したいものです。

お騒がせしました。
きらら&さつき&エミ&明石の君
2015年09月16日 21:13
『大事故や大災害などがない限り、人間は必ず独りで生まれ独りで死んで行く』とありましたが、戦争こそ集団死の最たるものですよね。
自衛隊の若い男の子戦場に行かせて死なせたくない。
人殺しもさせたくない。
私たちも絶対に国防婦人会にはならない。

強行採決は確定的なのでしょうけど、後になって後悔しない為に何か行動を起こさなくちゃと、自分の意思表示として4人の美女軍団で国会前に来ています。
(先日の中年漂流記のオフ会の二次会みたい)

おまわりさん(本官さん)いっぱい。
機動隊のバスもたくさん停まってる。
エミちゃん腕まくりして気合い入ってるし小雨降ってるし百均のカッパは破れるしトイレは無いし太鼓はうるさいし・・・

終電に間に合わなかったら誰かアッシー君お願い。

コメ欄勝手に使ってゴメンナサイ。
責任はきららが取ります。
拾碌
2015年09月17日 00:06
管理人氏は携帯の電源を切っていて連絡取れず。
よって私がエミを迎えに行き、
やじさんが他の三名を回収に行く事になった。
なんて日だ!
管理人
2015年09月17日 18:12
記憶に強く残る「なんて日だ!」になっちゃいましたね。
雨降る中を皆さんご苦労様でした。

個別に何か美味しいものでもご馳走しましょう。
明石の君
2015年09月17日 21:42
やじろべえさん、きららさん、さつきさんの四人で、夜更けの某所のスナックでオフ会をしました。
中年漂流記をこよなく愛する人たちとじっくりお話が出来て、思い出深い日(複数の意味で)になりました。

きららさんも私も息子や娘がいるので今後の日本が不安ですが、いつか必ず戦争を完全否定してくれる政治家や政党が出現する事を願っています。

皆さん、そして管理人さん、有難うございました。
やじろべえ
2015年09月17日 23:17
先ほど管理人さんと話しました。
『終わりの始まりだね』
現政権の事か自民党の事か日本の事か現在の平和の事かは語ってくれませんでしたけど、意味深な言葉でした。
拾碌
2015年09月18日 21:57
確認したら来年の参院選の事のようです。
でも現政権が大阪都構想を実現させる含みで橋下徹氏を民間枠として総務相に登用する秘策があるかもとの予測。
衰えを知らない橋下人気で支持率維持か、更なる票の上乗せも狙っているかもと言う見立てでした。
なるほど、十分あり得ますね。

コメ欄を占拠して思い切り叱られるでしょうね。
今夜はきららさんの息子さんが国会前にいるそうです。
管理人
2015年09月19日 19:26
忙しいので、私抜きでSNSでどうぞ。
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