中年漂流記 俳句集


管理人氏が『お前、ブログに何か書いて置け』と例の口調で命令するので、今回わたくし『拾碌』がピンチヒッターとしてこの場をお借りしでブログデビューさせて頂きます。とは言っても氏のピンチですし、ご下命があったからには何か書かなければならずに悩んでいます。いつも読み手として単純に楽しんでいただけの私は管理人氏の苦労の一端を身を持って知った次第です。氏が自分の記憶や知識に自信がない時に『ここは絶対に間違って書いてはいけない部分』と何冊もの本を出して調べている姿を目撃していますし、ネットを検索すると、それらを無断でコピペしているブログも複数知っています。それだけに何年も随筆風のブログを続けている氏の苦労やアクセス数が多いのも納得ですが、誰もが閲覧可能ですからこんな事もやむを得ないのでしょう。

最近知ったのですが、Yahoo知恵袋を色々見ていたら質問のベストアンサーとして氏の某記事のアドレスが載っているのを偶然に発見しました。氏はそんな事には無関心ですが、探せば他に幾つもこうした無断引用サイトは存在すると思います。だから記事を書くにも正確を期す必要があり、何を書けばいいのやら怖くて悩むのです。そこで思いつきました。氏(俳号は『多蘭』と言い、これは脳味噌が足りない、不足しているところから、その『不足』を『足らん』として当て字にしたものです ―でも頻繁に俳号を変えるので混乱します―)が『中年漂流記』内だけで披露した記事の中から、氏の作った『俳句』を集めてみようと・・・
幸い、ピクチャーに保存してある画像をどれでも好きに使って良いとのお許しもあったので、それに絡めて載せてみる事にしました。私も俳句仲間なので、我ながらナイスアイデアと思います。
(私の俳号『拾碌』も、蕎麦好きなものですから二八蕎麦、2×8=16となって氏が命名したものです)

昨日は立冬、北海道からは降雪のニュースも伝わって来ます。
それでは多蘭作、先ずは冬の句から。


  画像  

  
   『新年』は『冬』にまとめました。


    立冬や吾の敵は過去の吾

    北風を雪見障子で分かつ朝

    まほろばの寒月凛と石舞台

    旅の朝みささぎに降る雪やよし

    口切や松籟を聴く竹の庵

    湯の宿の主囲みし炉辺話

    木曾の宿寒月ひとり見上げをり

    起きぬけの庵埋み火手をあぶる

    在りし日の母のぬくもり蒲団干す

    極月や定位置にありオリオン座

    オリオンは大川の上師走来る

    あかつきの河岸のにぎはい師走来る

    雪折や風を落として嶺の雲

    凍鶴の如く鉄塔動かざり

    凍鶴のごと鉄は動かざり

    冬耕や鍬に当たりし石の音

    冬木立風も己も同じ道

    酷寒や月光全村照らしをり

    冬の朝友の訃報届きけり

    寄席はねて仲見世裏も年の暮れ

    燈明の揺れて老僧障子より

    香焚ひて仏画描きし部屋は冬

    つつがなくひととせめぐり炭を継ぐ

    餅つくや片肌ぬぎの佃衆

    諦観も挫折もありて暦の果

    去年今年つたなき自我を封印す

    神送り驕りを削げば無垢なるや

    初富士や関八州に隠れなし

    初詣二の鳥居まで人のいて

    老いの坂また一歩行く松の内

    樋伝う音なき雨や二月尽

    夢まぼろし微熱三日の寒椿

    大寒や群れず驕らず目立たずに





画像  


    春めきて煮ふくめし豆の織部かな

    夜桜の旧街道へ大まはり

    城址の茶屋の団子や啄木忌

    はなまつり今日はほとけの貌で生く

    菜の花やたしかに円き水平線

    信濃路や宿場はずれのゆすら梅

    方丈の晴耕雨読老いの春

    うぐいすや遠近にいて雑木道

    若葉して点茶畏き奈良の僧

    微熱ありて春立つ朝の二度寝かな

    静かなる春の時雨の江戸暮らし

    春雷や闘わずして日が暮れて





画像  


    太宰忌や書に飽いて聴くジムノペディ

    田も人もあまねく梅雨の中となる

    千枚田あまねく梅雨の中となる

    遠雷のゆくへ気にして野天の湯

    越後より夏雲来たり峡の宿

    馬篭宿やど決めかねて道おしへ

    大雷雨 関東平野 震撼す

    佳き人の二の腕白き衣更

    炎昼や日和見主義を断罪す

    漂泊は遠きあこがれ原爆忌

    終戦日文武両道ままならず

    紫陽花やいざ鎌倉のむかしみち

    あぢさゐや蕎麦屋が蕎麦に舌鼓

    前線停滞夏暖簾そよとも動かず

    紫陽花や念仏聞こゆ小寺あり

    半夏生乱世からなる秘仏あり

    夾竹桃雨のホームに雨の汽車

    空蝉を残していのち飛びにけり

    ひとすじの水こぼし過ぐ金魚売

    夏空にカモメ飛び交う隅田川

    炎帝に召使はれて身過ぎかな

    河童忌やカンダタすなわち汝の名





画像  


    露地風や秋の風鈴つぎつぎと

    行き女坂帰り男坂の萩の寺

    追分を旧道へ行く旅の秋

    にごりざけにごれる呑みて川の宿

    秋霖や往生極楽院暗し

    比叡から木枯らし往生極楽院

    尼寺や無常身に入む祇王祇女

    十六夜や二合の酒に酩酊す

    みほとけの裳裾を濡らす萩の月

    光年の銀河あまたの輪廻見つ

    霧雨や音なき里の野辺送り

    身罷らぬいのちはなくて秋彼岸

    日に三本バス通う秋の湯治宿

    落人の里の長雨初茸

    秋時雨暗き湯殿の湯治宿

    夜神楽や荒ぶる神の降臨す

    大川の月砕き過ぐ屋形船

    数珠持てど穏やかざりし空の秋

    筑前の鉄路はのどか秋ビール

    車窓には筑前の風秋麦酒

    筑前は秋味の秋腑にしみて

    卑弥呼驚愕平成倭国大乱神無月

    平成の倭国大乱そぞろ寒

    平成の倭国大乱神無月

    秋の旅神話民話の国境

    新涼や風土記の丘に昼の月

    鯛の身のほろりくずれて秋の暮

    バーガー屋出でて佐世保の無月かな

    名画座を出でて銀座の無月かな

    竹林を出でて嵯峨野の無月かな

    宵闇や天地にありし吾が星座

    肥前路は半刻遅れ来る秋暁

    西海や秋暁半刻遅れ来る

    秋暁や鍵盤は日本放送協会

    新米の湯気ありがたや旅の朝

    秋麗ら旅の途上のハンバーガー

    鎮守府十月そのいにしへの征露丸

    星月夜玄海灘の錆の色

    秋土用烏賊に残りし海の色

    月の海烏賊一閃の黄泉の色

    秋深き隣も烏賊を食う人か

    深海に黒真珠を見しや秋の烏賊

    無愛想も愛想のうちかバーガー屋

    無愛想も愛想のうちか零余子飯

    談合は古今東西冬隣

    酔い醒めてひとりを嘆く秋もあり

    秋光や白磁の肌のなまめきて

    倭国見ゆ天気図秋雨前線か

    どこまでも優しき友よ秋うらら

    語らえば友の笑顔に秋日さす

    余生とは余情と決めし居待月

    風巻けば尾花乱るる枯野かな

    里野分白色レグホン躓けり

    風巻けば穂波乱るる棚田かな

    母のいて土間の匂ひや盆休み

    宇治川を雲水渡る野分かな

    秋浪や坂東太郎の尽きる町

    駿河路や秋浪沖の青海波

    天気図は秋雨前線休暇果つ

    秋麗や母の仏間に風を入れ

    惜秋や里のはずれの国分尼寺

    木の実降る鎮守に絵馬の女文字

    賢者にも愚者にもなれず竹の春

    方丈の風は谷から竹の春

    竹の春遠き記憶の風の色

    破れ寺の軒傾きて竹の春

    竹の春忘れたきことばかりなり

    大寺や四天厄日の邪鬼を踏む

    秋晴れやかはらずおはす伎芸天

    秋暑しうらみつらみの箸を置く

    白日夢また貧血か秋暑中

    秋の旅朝は茶粥に香のもの

    子規忌間近暮れ残る日の宝珠かな

    秋草や生きるよすがの釈迦三尊

    休暇明け市井の一人に戻りけり

    秋雨や逝きし人みな美しき

    桐一葉去る人はみな美しき

    霧雨の霧に消え行く野辺送り

    身罷らぬ命なけれど夜食かな

    使い古し数珠玉つなぐ手暗がり

    歳時記に下五をさがす秋の暮

    あめつちの慟哭聞こゆ秋の尾根

    内弁慶が飯を食ってゐる今日は山頭火忌

    から咳が骨にひびく山頭火忌

    白桃のひじ伝うほどむさぼりぬ



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この記事へのコメント

きらら
2011年11月10日 10:45
拾碌様、ご苦労さまです。
俳句同好会の活動は如何ですか。
お二人ともお忙しそうなので、きっと無理なんでしょうね。
私はまったくの素人なので、
もし機会があれば勉強を兼ねて吟行に参加させて下さい。
豆太郎
2011年11月17日 21:51
私も吟行に加えて欲しいのですが、遠方ゆえ無理ですね。
色々と好きな句はあるのですが、特に気に入っているのが『寄席はねて仲見世裏も年の暮れ』『夜桜の旧街道へ大まわり』『佳き人の二の腕白き衣更』等です。

ところでYahoo知恵袋のベストアンサーがずっと気になっています。
もしよろしければ、どんな内容か教えて頂けないでしょうか。
豆太郎
2011年11月20日 22:16
私などが想像している以上に多くの方が『中年漂流記』を見ているんですね。
改めて管理人さんの知識の豊富さに脱帽です。
拾碌さん、教えて頂いてすっきりしました。
ありがとうございました。
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