見栄を張ってみたけれど
築地の初競りで、クロマグロ1本に3,249万円の値がついた。
香港資本と、銀座の某有名寿司店が共同で購入したらしい。
某寿司店には一度だけ行った。
もちろん招待されて出掛けたのだが、美味しいとは感じたものの、緊張のあまり、味がいまひとつ分からなかった。
赤字覚悟でサービスしたらしいけれど、実際に利益を生むには、一貫を1万円程度に設定しなければならないようだ。
どんな職業の、どんな人が食べるのだろう。
ニュース映像を見ると、ずいぶん若い人がニコニコしながら、こちらに当て付けるように食べていた。
味も分かっているのだろう。
少なくとも、私を含めて、私の周囲にはそんなマグロを食べられる人はいない。
そりゃ私だって、財産を処分すれば食べられないことはない。
でも、そこまでするのは狂気の沙汰だ。
羨ましさを一千光年も通り越して、別世界の出来事にしか見えなかった。
そんな人たちは、値下げ競争に走る牛丼や、朝マックなど食べたことがないだろう。
何だか面白くないので、昼食に持ち帰り寿司店で安いお寿司を買った。
ビニールに入った醤油をたらたらと浸けて、ボソボソ食べた。
食べながら、無意識に、一貫1万円もするマグロで、この持ち帰り寿司を何パック買えるか計算したら、安い寿司の味も分からなくなってしまった。
見栄を張って、アナゴの押し寿司まで追加して買ってしまった。
切り詰めるだけ切り詰めて、我が家からまだ削るとしたら、それは食費しかない。
大した物も食べてはいないのに、エンゲル係数だけは高い。
一時期、小麦の値段が高騰して、インスタントラーメンの値段が倍になった。
倍になったまま高値で安定してしまい、値段が下がる気配はまったくない。
どのようなカラクリなのだろう。
デフレから脱却しなければ景気は良くならないけれど、デフレのお陰で助かっている我が家の暮らしがある。
今年は清貧に甘んじよう。
一汁二菜程度の暮らしを心掛けよう。
たかが食べ物くらいで、つまらない見栄を張るのはやめよう。
せめて、カレー、ラーメン、牛丼、100円マック、このローテーションで行こう。
それにしても、世の中、絶対におかしいぞ。
この記事へのコメント