不倫の行方 1


人は永遠にひとりの異性を愛せるか

もちろんこれは家族愛や親子愛などとは違う恋愛のことなのだが、久し振りに会った友人との会話の中からそれが見えてきた。
年を重ねるにしたがって愛とか恋心などは遠ざかり、この普遍的な命題も、「もうそんなことはどうでもいいんだけどな」と思ってしまう。
けれど、友人の話は意外なものだった。
彼とはかなり古い付き合いだ。
その付き合いの途上で不思議に感じていた彼の行動や思いをこうして聞いてみると、当時の様々な不思議が、いま鮮やかに蘇ってくる。
彼を知っているつもりでいたが、それは彼のほんの一部分だったことが判る。

私の問いかけに応じて、彼が語り出した。
口は重いが、淡々と話す内容はそれ以上に重かった。
けれど私に言わせれば、いや、昨今の様々な恋愛事情の中でもありふれた内容に思える。
彼自身が抱えた重さは、他人の私には判らない。
それでも確かに重いだろう彼の人生には共感できた。

喫茶店でぽつりぽつりと彼の話が始まり、あまりにも長くなるので、途中で店を替えた。
当時感じていた多くの疑問が氷解していく。
そして別れ際に一冊の分厚いノートを預かった。
「これにすべてが書いてある」
パラパラめくると、どのページも彼の文字でびっしり埋まっていた。

このノートと彼の話を元に、文章を起こしていこうと思う。
しかしプライバシーの問題がある。
そこで繰り返しメールをやり取りする中で、こちらで綴った下書きにチェックを入れてもらい、彼や、彼を取り巻く人たちに配慮してアップする準備作業が続く。
もちろん彼のノートから転載する文章も、多少のアレンジをして載せることにする。
それでも当事者が読めばすぐに判ってしまうだろう。
でも、もうはるかな昔のことだ、勝手に時効としておこう。
ブログに載せることを彼も了承した。
但し、諸般の事情で突然削除することがあるかも知れない。
それはその時に考えよう。

前置きだけでこれほど長くなってしまったが、これからすべてを書くとすれば、どれだけ長くなるか、まったく見当がつかない。
そこで、日常のブログの合間に少しずつ、彼の了解や訂正、補足の元に始めよう。
タイトルは「不倫の行方」としたが、順次公開していく内容は彼の不倫の話だ。
いまは不倫など珍しくもない社会になっているようだが、数少ない平凡な恋愛しか経験のない私にしてみれば、それは充分驚きに値する。

客観的に自分を見られなかった彼が、今は自分を冷静に見つめている。
「あの頃は迷惑かけた」
相棒だった私への詫びと、その私が彼の行動をどう評価するかを知りたいらしい。
ならば私の感想も少しは織り込んでみようか。
けれど、何故それをブログにするのか。
彼も、私も歳を取った。
互いに古い思い出を語る年齢になった我々は今、どのように過去と対峙するのか。
そして惜別しなければならないのか。
答えは出ていない。
見切り発車である。

預かったノートには、相手女性の走り書きのようなものも挟まっていた。
そして同時に、大量に渡されたツーショットの写真。
彼が何故、思い出のそれらの品を私に渡したのかは、最終回に書こう。
いずれにせよ、読み進むうちに、冒頭の、
「人は永遠にひとりの異性を愛せるか」
その答えのようなものが浮き上がってくるのだと思う。
文字通り、彼の不倫体験の結末である。
では、彼のノートの内容と、一部写真を使わせてもらい、それらを中心にボチボチ進めることにしよう。
時代はバブル直前。
まだ携帯電話が普及する以前のことだ。
彼には申し訳ないが敢えて言おう。
情けない男の、一生に一度の恋物語である。


 2に続く。

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