時雨亭往還

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<<   作成日時 : 2018/02/25 16:30   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 27 / トラックバック 0 / コメント 8


首相官邸のHPを見ると次のようにある。


一億総活躍社会実現、その本丸は人づくり。子供たちの誰もが経済事情にかかわらず夢に向かって頑張ることができる社会。いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会。人生100年時代を見据えた経済社会の在り方を構想していきます。


画像「経済社会の在り方」が曲者で、仕事をリタイアしても、まだ100歳くらいまで生きなければならない時代が来るのだから、何らかの経済活動を考えるということなのだろう。

少ない年金を元手に、何か起業せよとかではないと思うのだが、ならば預貯金を吐き出しなさいとしか理解できないこの謎の文言。

高齢者や年金世帯の預貯金が増加傾向で、それが全体の貯蓄額を押し上げているやに漏れ聞く。

一般的にそれらの人は、働かずして預貯金を増やしているのだろうか。

そうではあるまい。
現在や先の見えぬ社会への不安から、乏しい年金をやり繰りして内部留保しているだけではないのか。
(今のままで満足だよ〜、という方は、以下は無用の内容です)

私は預貯金が乏しいから、80、90歳まで生きてしまう恐怖を持っている。
蓄えのある人は、その総額によって国民の貯蓄額を押し上げ、国債発行の担保となっている。

画像国民は赤字国債発行の連帯保証人というわけだ。
ハンコついた覚えはないが、国家財政が破綻したらと思うと、また恐ろしい。

それは、老いたら来世を見据えるのではなく、老いてなお現世を思い煩わなければならない社会に対しての恐怖である。

私はまだ切羽詰る状況ではないので、もしお迎えが来てくれるなら今の内であって欲しい。

誰か、私独りを西之島に流してくれないかと、ペシミズムに添い寝されながら思う。

長生きはしたくないと願う。
願いは一つ、自分の後始末は自分で済ませたい。

しかし、こればかりは自分で斎場へ出向いて、私を超ウェルダンで焼いてくださいとも言えず、他者を煩わせることになる。

よだかの星」という宮沢賢治の短編がある。


よだかは、実にみにくい鳥です。
顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。
足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。
ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。



よだかの悲しみと祈りは、賢治の死生観や宗教観が表出したものであって、人間の欲望の犠牲になる他の生物への慈しみや苦しみに寄り添う。


ああ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕(よだか)に殺される。
そしてそのただ一つの僕がこんどは鷹に殺される。
それがこんなにつらいのだ。
ああ、つらい、つらい。
僕はもう虫をたべないで餓えて死のう。
いやその前にもう鷹が僕を殺すだろう。
いや、その前に、僕は遠くの遠くの空の向うに行ってしまおう。



「遠くの遠くの空の向うに行」きたい、これがよだかの悲願である。
太陽に懇願するよだか。


お日さん、お日さん。
どうぞ私をあなたの所へ連れてって下さい。
灼けて死んでもかまいません。
私のようなみにくいからだでも灼けるときには小さなひかりを出すでしょう。
どうか私を連れてって下さい。



太陽に断られると、今度は星に同じことを頼む。


お星さん。
西の青じろいお星さん。
どうか私をあなたのところへ連れてって下さい。
灼けて死んでもかまいません。



星にも断られたよだかは、自力で空に昇る。


それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。
そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
すぐとなりは、カシオピア座でした。
天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
そしてよだかの星は燃えつづけました。
いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。



よだかの絶望は賢治の絶望であって、人間も生物の中で生きるために他の生物の犠牲を強いている悲しみである。
この謙虚さは自意識を持つ人間にとっての苦しみと密接に連動している。

「デクノボー」と呼ばれることを望み、弱者を救済するために進んで身を挺する精神は、そもそも文明や文化は欲望を満たすための自然からの搾取ではなく、生物すべてに真実の幸福をもたらす倫理的な知性の創造であるとの主張と理解できる。

不幸の実感とは幸福の欠如感であり、賢治の農民芸術概論綱要の序論には、以下の文章が見える。


世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない


読み進めて行くと、科学と信仰と芸術的な直観の一致により、初めて世界全体(生物全体)の真実の幸福が実現されるという、強固な論旨が見える。

同時に、人間と動物、一体どちらが正気なのかと問い掛けているようにも感じる。
だから賢治の「世界ぜんたいの幸福」が成就しない限り、個人の幸福はあり得ないとの主張と悲しみが強烈に響く。

ここで賢治は内省する。
目の前の現実世界が修羅界であることの慨嘆より、己こそが修羅そのものだという自覚が悲しみの実相であると…。

修羅の世界を認めながら、何とか浄化したいともがく己こそが誰よりも修羅であるとして、正気ではない、修羅であると二重の悲しみを詠嘆し、生き方の提示もしている。

農業人であり、宗教人であり、コスモポリタンでもある賢治の主張は次の一節に凝縮されている。


みんなむかしからのきやうだいなのだがら けつしてひとりをいのつてはいけない


画像これは階級なき社会や独裁社会とは別次元の主張であって、人間同士はもちろん、花や鳥を始めとした万物と共棲したいと願う賢治のアイデンティティである。

二者択一を迫る次元のものではなく、もっとその奥深くにある広大な宇宙観にも思える。

だからこそ、宇宙のあらゆる生物がみんなお互いの兄弟であるような世界、憎むことの出来ない敵を殺さないでいいような世界が来ることを願うのが人間の本心であるとの主張が、現代に於いて輝きを保っているのである。

普遍的な主張は、概してどの時代でも通用するものだ。
普遍が恒久であることを願う。

「烏の北斗七星」の一節がすべてを語っている。


どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界がなりますように、そのためならば、わたくしのからだなどは、何べん引き裂かれてもかまいません。


画像
親友の命日を前倒して墓参に来た。

人生100年時代を見据えた経済社会の在り方などどこにあるのだろうと訝しく思う。
100年安心年金、などのたわけた嘘っぱちもあった。

100年どころか54年しか生きられなかった人生で年金も貰えず、逆に生者たち今度は一億総活躍社会実現などと言い出している。

一億火の玉、一億玉砕、一億総特攻などの不穏な連想をしてしまう。
国民を道連れにしないで貰いたい。

六道三界をさまよい続ける身でありながら、今以上の現世の苦界に身を置くのは嫌だ。

活躍の再スタートラインに立つのも嫌だ。
鈍重でいいから愚直に生きさせてくれ。

「デクノボー」 サウイフモノニワタシハナリタイ。


今回はプチ哲学風味にしてみました。
捨身をも厭わない賢治の思想こそ、世界平和を希求する本当の宗教であり哲学なのです。
そだね〜。




オマケ
いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会。(首相官邸)
国民が無知でバカと決めつけないで欲しい。


オマケのオマケ
大好きだったカッシーニは土星の大気に消滅したが、私はボイジャー1号に乗りたかった。
1号は太陽系を脱出し、現在も地球から遠ざかっている。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
一億総活躍!!
@若者を安い賃金で働かせるために共働きの社会を作りました。
おかげで日本の物価は上がりません。中国の賃金は上がりましたが、今さら工場は日本に戻ってきません。
会社で出世したいなとどと思わなかったオンナノコも同期が課長になると思うところもできてきて、競争社会に巻き込まれます。
専業主婦なんて夢のまた夢です。
A天下り官僚が給料もらいながら年金がもらえる社会を作りました。
年金を減額すると高齢者の勤労意欲が下がるそうです。
B失敗してもやり直せる社会を作りました。
首相が率先してやってました。
ひま爺イヴ
2018/02/25 18:58
ヨタカって、こんな姿なのですね。見た目は、最初、海に流れた原油にまみれたかのようだと思いました。なんだか、不器用な感じがして、かわいいです。鳴き声もかわいい😄。
本当に将来、どうなるんでしょう。わずかな虎の子も国債発行の担保となっているかと思うと そら恐ろしいです。
宮沢賢治が掲げた理想の世界は………なかなか………😵。
わらび
2018/02/25 19:05
よだかの星は、昔読みましたが
よだかを見たのは、初めてです。
吃驚しました<(_ _)>
あめゆじゅとてちてけんじゃ。。の妹思いの
賢治の苦悩をよだかと重ねてみました。

youtubeのさだまさしの風に立つライオンは
みなとの応援歌で毎日聞いて居ます (笑)
いつか千鳥ヶ淵の桜を見たい・・などと
思いつつ聞いて居ます。

素晴らしい投稿文ですが 
関係のないコメントばかりで
ごめんなさい<(_ _)>
みなと
2018/02/25 19:24
ひま爺さま、ナイスです。(笑)
年金受給額が上がれば確かにヤル気出ますよね。
さすが政府や官僚は知恵者です。
だから長期政権になるのでしょう。
この先トランプさんに追従して、
吉が出るか凶が出るかです。
時雨亭
2018/02/25 19:36
わらびさん、こんばんは。
賢治の童話は世の中の仕組みを了解した大人になって読み返すと、ひと味もふた味も深みが増します。
ヨタカは世間から疎外された人々を仮託した姿でしょう。
理想世界は私たちが生きている間は実現不可能です。
かといってこのままで良いわけではなく、理想の前段として可能な目標を掲げることも必要かと思います。
時雨亭
2018/02/25 19:38
みなとさん、こんばんは。
東京はあと一ヵ月もすれば開花宣言が出ます。
南から桜前線を追い駆けて北海道まで行きたいです。
そちらは雪の下で、すでにフキノトウが
春を待っているのでしょう。
フキや行者ニンニクなども沢山採れるのでしょうね。
いつも写真を拝見しながら除雪のご苦労を想像して、
頭が下がる思いです。
時雨亭
2018/02/25 19:51
 死に恐怖を与えたのは宗教なのだそうです。実際には穏やかで、素晴らしい世界が待っているのが実感出来るのだそうです。でもそんなに急いで行かないで、長生きしましょうよ。この先年金も不安定で、いつまで出るやらと思いますが、人間は強いですからね。一か月一万円で暮らせと言われたら、それなりに知恵を働かせて、節約もまた楽しの心で・・・というわけにも行きませんね。(〜〜)v。
美代子
2018/02/25 20:32
そうですね、恐怖はありませんが何かで読んだことがあります。早死にしたいわけでもありませんし、たまたま親友の墓参で、うまいこと逃げやがったなと今の社会や仕組みに毒づいて来たばかりなので、書き進めるうちにこのような論調になってしまったようです。ブログでその折々の感情を吐き出して、あとはケロッとして水餃子なんぞを食べてます。時雨亭、こう見えても結構したたかなのであります。えへん。
時雨亭
2018/02/25 20:45

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