中年漂流記

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<<   作成日時 : 2005/11/16 10:30   >>

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秋山郷の紅葉は瞬く間に駆け抜けて散ったが、東京に戻れば紅葉は今が盛りだった。
密葬ながら父の葬儀の喪主を務め、それなりに区切りをつけた。
すべてを終えてふと我に返ると、木々の葉の色が目に沁みる。
「みんな死んでしまった。いま残っているのは生きている者だけだ」
何かの本で出合った一節だが、切なくて奥深いような、それでいて何の意味もないような当たり前の文章が何故か頭を廻っていた。

いつもは仁成館から戻ると、疲れで2〜3日は動けず泥のように眠るのだが、そんな余裕もなく数日が過ぎた。
それでも、あの少し熱めの内湯で寝不足を吹き飛ばす朝風呂に浸かり、一日の始めとしていた暮らしは魅力だった。
主人の一日は必ず露天風呂の入浴から始まっていた。
自宅に戻るとホッとするが、数日前別れたばかりなのに、それでも主人の顔が懐かしく蘇った。


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東京は便利だ。
打ち合わせにどこか適当な場所は、と周囲を見回せば、ファミレスや喫茶店は必ず見つかる。
どのテーブルでも会話が弾んでいる。
それぞれの笑顔を不思議な気持ちで眺めていた。


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店を出ると街路樹も色付いていた。
秋山郷よりは一ヶ月以上遅いが、これだって立派な紅葉。
東京の紅葉。



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